多言語音声翻訳コンテスト受賞者の今を取材!

こんにちは。キャンパスラボ所属、実践女子大学の安藤美詞です。
今回は第2回多言語音声翻訳コンテストで最優秀賞を受賞した『やさしい日本語化エンジンと多言語音声翻訳を組み合わせた「やさしい日本語化支援アプリ」』を開発したアルファサード株式会社の野田純生さんにお話を伺いました! 

「伝えるウェブ」とは

野田さんが開発したのは、テキストをやさしい日本語に変換するやさしい日本語化支援アプリ「伝えるウェブ」です。やさしい日本語とは、簡単な単語を用いてふりがなや分かち書きをした分かりやすい日本語のことを指します。例えば、私たちが難しい英語を中学校で習うレベルの簡単な英単語に置き換えれば理解しやすくなる感覚と同じように、「高台へ避難しましょう」のような日本語の難しい言い回しは外国人や障害者の方にとって理解しづらいです。しかし伝えるウェブを使うと、「高いところへ逃げてください」と変換して訳されるため、理解がしやすくなります。また音声読み上げ機能があるため、日本語が読めなくても聞き取りは可能な外国人の方も理解に役立てることが出来ます。「伝えるウェブ」を使うと、日本語が苦手な外国人の方もウェブ上の必要な情報を理解出来るようになるため、とても便利で素晴らしいなと感じました! 

作品アイデアのきっかけ

アルファサード株式会社では、設立以来Webアクセシビリティ(高齢者や障害者など心身の機能に制約のある人でも、年齢的・身体的条件に関わらず、ウェブで提供されている情報にアクセスし利用できること)への取り組みを行ってきましたが、自治体などのホームページでは文章の長い丁寧な日本語表現が多く、日本に住む外国人の方が必要な情報を理解出来ない現状を知った際、一度簡単な日本語で短い文にしてから訳すアイデアを思いついたそうです。そこで、経営者であり技術者でもある野田さんはより一歩進んだことがしたいと考え、やさしい日本語をホームページで使えればいいなと考えたそうです。しかし探してみると実用的に使えるものがなかったため、そこからご自身でシステムを作ろうと決意され、「伝えるウェブ」の開発を行っていました。

今回、やさしい日本語と多言語音声翻訳の組み合わせは相性がいいのではないかと興味が湧き、「伝えるウェブ」と多言語音声翻訳技術を組み合わせた『やさしい日本語化エンジンと多言語音声翻訳を組み合わせた「やさしい日本語化支援アプリ」』を開発しコンテストに応募したそうです。

「伝えるウェブ」を開発する中で、言い換えのパターンを単語登録する作業をすべて人手で行うことが大変だったそうです。例えば、「凍結する」は、「路面が凍結する」という場合は「凍る、氷になる」ことですが、「計画を凍結する」場合は「中止する」、「口座を凍結する」では「利用を禁止する」など、同じ言葉でも文脈によって意味が異なるため、何の文章なのかを認識しなくてはならない仕組みを作ることに一番苦労されたとお話されていました。現時点で約3万語入っている辞書の登録作業を、なんと最初は野田さん一人で行っていたそうです!「伝えるウェブ」のアイデアを形にし、多くの外国人の方や障害者の方を助けたいという熱い想いが感じられました!

「伝えるウェブ」の現在と今後は?

受賞後は「伝えるウェブ」が、東京都足立区役所をはじめとした数々の自治体のウェブサイトに使用されているそうです。また自治体・医療機関・教育機関などを対象に2021年3月まで無償で提供するキャンペーンを行い、「伝えるウェブ」をより多くの人に使ってもらう取り組みをされています。

今後の展望としては、教育機関や医療、スポーツなど分野ごとでの辞書で専門用語や文脈のバリエーションを増やすことで、「伝えるウェブ」の活用の場を増やしたいと考えているそうです。「伝えるウェブ」はいろんな場面で活用できるものであると考えているため、他の会社と協業することで、新たなサービスの開発や機能の制度を上げていきたいと仰っていました。「伝えるウェブ」の認知度を拡大し活用シーンが広がることで、多くの外国人の方が必要な情報をウェブで理解することが出来るようになればいいなと思いました!

野田さんからコンテスト応募者に向けたアドバイス

最後に、野田さんからコンテストに応募しようと考える方へ向けたメッセージをいただきました! 
「アドバイスというような偉そうなことは言えませんが、企画の立て方としては、まず世の中や誰かの困り事が何なのかを考え、その試作品やアイデアが実現したら世の中がどうなり、そのためには何があったらいいのだろうと逆算して考えるとやりやすいんじゃないかと思います。私は技術者としてソフトウェアで解決しようとする方法を考えましたが、同じ課題でも解決方法には様々なアイデアがあると思うので、自分の得意なことやスキルを是非多言語音声翻訳の未来に活かして欲しいです。」

野田さんは、「今は人間の脳に比べまだ文脈の判断などに機能や精度の向上が必要だと思いますが、翻訳に携わり日々研究している人は世の中にたくさんいらっしゃいます。そのため今後は更に進化し、人間の脳に近しくなっていくことも考えられるのではないかと考えています。」と技術者の視点で多言語音声翻訳の未来を話して下さいました。大学生にも分かりやすいように説明も交えながら詳しく質問に答えてくださり、私自身お話を聞きながらワクワクしていました。皆さんも是非、野田さんのお話を参考にコンテストに応募してみてください!! 

レポート一覧に戻る